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つぐ太のブログ

Your sugar. Yes, please.

くらしと制度 配偶者控除廃止③

 配偶者控除廃止の記事はこれでおしまいです。いやー、疲れました。制度ってのは関連するものが多くて全体像をつかむのが大変です。しかし、ふだんてきとーに、こんなもんだろうと知ったかぶりしている知識を確かなものにする有意義な作業でした。

 これで終わりにせず、深めて広げてを繰り返したいですね。

配偶者控除がなくなるだけではない

 

 年収141万円からは、配偶者特別控除もなくなり、この影響は、家計の負担増ということですぐに現れます。それではフルタイムで働いて、より多い収入を得れば良いのかというと、そうではなさそうです。前回あげた通り、配偶者控除はそもそも実態として育児、介護、老齢により、フルタイムで働けない配偶者がいる世帯などに適用されているものです。

 配偶者控除は、さまざまな世帯の最低限度の生活限度の生活費には課税しないという、憲法に基づく応能負担原則、生計費非課税の原則に基づいているものです。適用の実態は、より低所得者層に移行しています。働くことが難しい状況がある配偶者がいる世帯から控除を取り上げて、「活躍しろ」というのは矛盾しています。

 

「103万円の壁」がなくなれば女性はより働けるのか

 

 年収が103万円を超えると配偶者控除がなくなるだけではない負担増があります。年収が103万円を超えると妻(控除対象配偶者)自身が所得税を支払う必要が出てきます。さらに妻の年収が130万円以上(65歳未満の場合)になると夫(納税している配偶者)の扶養から外れて、妻自身が社会保険料を支払う必要が出てきます。夫の被扶養者として加入する社会保険からは外され、夫の社会保険が負担していた妻の健康保険料や年金保険料を妻が支払うことになり、妻が働いている会社の社会保険か、国民健康保険国民年金に加入することになります。妻自身の収入が130万円以上になり、会社の社会保険に加入した場合に負担する厚生年金保険料は、概算で年間19万円以上になります。

 一般に、年収が100万円を超えると住民税の支払いもあります。働く時間を増やして収入を増やしても健康保険料、年金保険料、住民税や所得税が引かれ、手取りは大きく減ってしまいます。

 今月1日からは、130万円の壁が、短時間労働者の厚生年金適用の基準が拡大され、106万円以上の収入があれば厚生年金に加入することになりました。しかし、これは従業員が501人以上の企業が強制適用されるもので、500人以下の企業については今国会で議論されています。

 また配偶者控除が廃止された場合の103万円という数字に関わる影響もあります。多くの会社では家族手当や扶養手当などを独自に支給しています。この支給の判断に、年収103万円未満というラインが多く使われています。配偶者控除が廃止されれば、支給の根拠を失って、手当てを廃止する企業も出てくることが指摘されています。

 安心して介護や育児ができる社会的基盤を充実するどころか、後退させている現状で、一部だけを取り出して「女性の活躍」などという大義名分を掲げて、増税を押し付けることは許せません。

監修協力:吉田務社労士