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つぐ太のブログ

Your sugar. Yes, please.

違法確認訴訟、最高裁弁論開かず

予想はしていた。ちょっと裁判の経過を振り返る。

 辺野古新基地建設の埋め立て承認取り消しをめぐって、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟で、最高裁第2小法廷は12日に、口頭弁論を開かずに判決を言い渡すことなどを県に伝えた。

高裁判決の変更に必要とされる弁論を開かずに最高裁が上告審の判決期日を指定したことにより、福岡高裁那覇支部が言い渡した県の敗訴が事実上確定した。(2016年12月13日 琉球新報

 口頭弁論を開かなかったというところがポイントのようだ。

 これまでの裁判の経過をここで振り返っておこうと思う。

取り消しへ 

 翁長雄志氏が2014年11月、オール沖縄の県民の世論で知事に選ばれました。そして、知事は年が開けてすぐに辺野古基地問題を検討する第三者委員会を立ち上げました。そして10ヶ月をかけて検討を重ね、2015年10月14日に、仲井真弘多前知事の辺野古埋め立て承認には瑕疵があるとして埋め立て承認を取り消しました。

国が私人の立場で関与

 これに対して国は、国という立場でありながら、国民の権利救済であるはずの行政不服審査法に基づいて国交相に翁長知事の承認取り消しの「無効化」と「執行停止」を申請しました。これには多くの行政法学者から疑問の声が出ました。国交相はこの申請を受けて、無効化のために「知事の取り消し処分」の取り消しの是正勧告を行い、同時に知事の「知事の取り消し処分」の効力を凍結する「執行停止」を行いました。そして翌日には辺野古新基地建設の本体工事に踏み切り、国の強硬な態度を示しました。しかし、本体工事に踏み切ったとは言いますが、実際にはヤードの建設などを行ったのみで埋め立てはいっさい行われておらず、本体工事に踏み切ったというのは国の去勢です。辺野古はまだバケツ一杯の土も入れさせていません。

国地方係争処理委員会へ

 翌月の11月2日に、沖縄県は「知事の取り消し処分」の国交相による執行停止を不服として国地方係争処理委員会に審査を申し出ました。ご承知だと思いますが、国地方係争処理委員会は、「国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるものについて不服のある地方公共団体の長等からの審査の申出に基づいて審査を行い、国の関与が違法等であると認めた場合には、国の行政庁に対して必要な措置を行う旨の勧告等を行う。」というものです。そして、沖縄県は6日には国交相の是正勧告に対しては拒否をし、次の段階の是正指示が出ても従わない方針を出しました。

1つ目の裁判「代執行裁判」

 翌月の11月7日に国交相は、県が是正の勧告、指示を拒否したとして国が県の代わりに「知事の取り消し処分」を取り消すための代執行裁判を福岡高裁那覇支部に提訴しました。これが1つ目の裁判です。

2つ目の裁判「是正指示への抗告訴訟

 また翌月の12月24日には、国地方係争処理委員会が国交相の「執行停止」を不服とした県の申し出を却下します。県は、翌日の25日に国交相の「知事の取り消し処分」の取り消しは違法だとして那覇地裁抗告訴訟を提起しました。これが2つ目の裁判です。

代執行裁判で和解勧告

 年が開けて今年の1月29日、高裁の多見谷裁判長は国が提訴した代執行裁判の第3回口頭弁論のあとに県と国へ和解を勧告しました。和解勧告文の中身は、国の手続きのまずさを痛烈に批判した前向きなものでした。

3つ目の裁判「係争処理委員会却下への抗告訴訟

 また翌月の2月1日に沖縄県は、国地方係争処理委員会が県の「国交相の『知事の承認取り消し処分』の執行停止」を不服とした申し出を昨年に却下したことに対しても、執行停止を取り消すよう求める抗告訴訟を起こしました。前年に提訴した抗告訴訟と性格は同じ裁判ですが、手続きが異なっており、裁判が起こせることから提訴しました。

和解が成立

 そして3月4日に、県と国の和解が成立し、双方が辺野古新基地建設問題の解決に向かって協議をすることになり、協議の作業部会が設置されました。辺野古の工事が中断することになり、今に至るまで中断をしています。国が和解に応じた理由には、同月末に行われたオバマ米大統領と安倍首相との会談への影響や、今年行われた県議会議員選挙、参議院選挙への影響を考慮してのことだとも言われますが、何よりも国が私人の立場で行政不服審査法に基づく是正を県に迫ったことへの批判の高まりに耐えられなかったということが大きいと思います。3つの裁判の中で、全部を勝利する保証がなく、1つでも負けると国側が大きなダメージを受け、新基地建設が難しくなるということを心配したのだと思います。安倍首相はオバマ大統領との会談で辺野古新基地建設の進捗を心配する大統領に対して「急がば回れ」だと言っています。この言葉が何を意味したかということが重要だと思います。

和解後、直ちに是正指示

 県と国が和解をしてからわずかに3日後、7日には協議もまったくないままに国は「知事の承認取り消し処分」は違法なので取り消せという地方自治法に基づいた関与の制度である是正指示を出します。これは3日待ったわけではありません。間に土日を挟んだので週明けの7日に是正指示を出しただけです。つまり和解の次の日には、左手で握手して右手で殴るようなことをしたわけです。沖縄県はこの是正の指示を取り消すべきだとして、国地方係争処理委員会に審査を申し出ます。係争委員会は6月17日に是正指示の適否について判断をしないとの結論に至り、和解勧告と同じように双方の話し合いを求めました。

県は提訴を見送り

 和解勧告では協議をし、新たに国が是正指示を出し、係争処理委員会に県が申し出、国の是正指示が適法であれば県が国を訴えなさいという道筋を示していました。係争委決定から30日以内であれば是正の指示を取り消すための裁判を提訴できますが、県は係争処理委員会の協議の求めを尊重し、係争処理委員会が是正指示の適否を示さなかったことから、国に協議の開催を求め、国を提訴することを見送る方針を固めました。

国が違法確認訴訟

 しかし、国は県の提訴の期限が切れるのを待って、期限であった21日の翌日、22日に翁長知事が「承認取り消し」を取り消せとの国の是正指示に従わないのは「何もしない不作為」であり「違法」だとして、違法確認訴訟を福岡高裁那覇支部に提訴しました。そしてわずか2回の口頭弁論で、県が申請していた生態系、安全保障の専門家ら8人の証人尋問も却下され、8月19日に結審し、翌月の9月16日には、沖縄県が国の「是正指示」に従わないことは違法だとする判決を出しました。県は上告し、法定のたたかいは最高裁へと移っていた。年度内には結論が出るとされていたが、年が開けない今月20日にも判決が言い渡されるという。